はぁ….
起きてPCの前に座っていますが習慣となっている空の写真を見ているとどうも暗い写真ばかり探してしまいます。
秋の紅葉や行きたい海の青とか目に入りません。
人間ってその時の気分がどんよりしてると明るいものや綺麗なものに目が行かず自然に暗ーいことばかり思ってしまうんでしょうね。
家事や仕事ばかりの日々なのでせめて写真だけは自分自身がそこに行ってるような気持ちになりたくて毎朝見る景色の写真なのに…
何が正解なのか何か方法はないのかと悩んでうじうじしてる自分に嫌気が差しながらどうしてやろうかとワナワナしつつそれでも笑顔になれるように虎視眈々?
難しい漢字が出てきましたが次に仕事に行く日のことを考えて作戦Cだの作戦Dだの引き出しの準備をしています。
やっぱりダメ
何を朝からウダウダ言ってるのかといいますと…
先日報告した頭ポンポン3部作の主人公であるフクイさんに手こずっているからです。
最後の記事に

よっしゃ これでいける
信頼関係を築けたのかどうかわかりませんがフクイさんが拒否もなくスムーズに対応出来ることで有頂天になったわたしはへっへっへーと呑気に構えてました。
ホントにごめんなさい。
他の職員さんが変わらず手を焼いていてわたしだけに反応が良かったので過信してしまったんですね。
ブログを読み返すとなんて傲慢な…
うぬぼれにも程があるとホントに反省しています。
フクイさんと言う方は。話をまとめますと…
系列の施設からこられた利用者さんでうちの施設に来てからは薬は拒否 食事も拒否 オムツ交換も拒否の非常にやりにくい利用者さんでした。
頭はクリア。このクリアと言いますのは介護用語なのかわかりませんがよく使う言葉で認知症状で言葉が理解出来ないのではなく何でもしっかり理解していると言うことになります。
そんなフクイさんに職員達が手を焼いていてわたしもその中の一人でしたが….
ある朝車椅子に乗って頂こうとした時に倒れ込んでしまいフクイさんのベッドの上で二人が笑ったことで何か繋がったかも?と思えた人でした。
その時 頭をポンポンしてくださったので他の職員よりも距離が近くなれた?
そうわたしが勝手に思い次に会う日を楽しみにしていた~と言う話の流れでしたが水分も拒否されていたので脱水で入院されてしまいその後元いた施設に戻ることになり残念やわ~と言う前のお話の主人公でした。
胃ろうになることでもううちの施設には戻ってこれない。
奥様も入所してるしそっちの方がフクイさんにはお幸せだろうな~と思っていたある日。
胃ろうを造設出来ない体のフクイさんがうちの施設に戻ってこられることで戦々恐々のうちの職員達。
わたしはと言えばどんな対応ならフクイさんに拒否されないだろうかと作戦を二つ考えて臨んだフクイさんとの再会ででした。

戻ってこれて良かった良かった
また仲良くしてな~
そう言うとフクイさんはしっかりと頷いてくださり手をさすりながらぎゅーっと握ると微笑んでくれたのでそこで有頂天になり作戦が成功したとばかり思ってました。
再会してからの日々は…
他の職員達がまたもげっそりしてきてそれぞれフクイさんに手を焼いている話ばかりでした。
記録を見ていると食事の拒否はないものの量が少ない。
食べることを促すとキレる怒鳴る。
脱水で入院されてしまったのでナースさんからは何が何でも水分だけはしっかり取っていただくことが重要ミッションでフクイさんの食事量と水分量の記録用紙が追加されていました。
合間合間にお茶だのジュースだのコップに入れて居室に伺うとすでにそれがわかっているかのように怪訝な顔をしてこちらを見るフクイさん。

お茶温めてきたから飲もうか~
するといらないと言えばいいのに

飲め飲めうるさいーっ
飲め飲めってまだ1回しか言ってないのに…
連日職員が水分を取って頂くのにお勧めしてる記憶があるんでしょうね。
そしてお茶が嫌ならジュースにする?
そうたずねると

いらんっ うるさい~っ
はぁ…
1日の推奨水分は1000㏄以上になってるので夜勤帯で飲ませる水分の目標は500㏄。
励ましたり脱水で入院したので水分は大事やで~との説明もダメ。
拒否に加えて怒鳴り声。
目を剥いて半身起こし気味に興奮されていらん言うたらいらーんっっ。
壁には排泄表なるものが貼ってありそこに記入しなくてはならないおしっこの量。
それを見るとマイナスばかりになっています。
ナースさんからの申し送りノートを見てもおしっこの回数や量が異常に少ないので水分は必ず飲ませてください。と書いてありました。
焦る職員達。
褥瘡が出来かけてる
褥瘡って知ってますか?
床ずれの正式名称になります。
フクイさんのお尻の仙骨部分に出来かけの褥瘡がありナースさんからの指示で毎回オムツ交換の際にその仙骨部分を泡で洗い2種類のお薬を混ぜて塗ってくださいと…
仙骨と言いますのはお尻の割れ目の上の部分の骨になりますが寝たきりになっている高齢者さんにはよくありますが床ずれが出来てしまうんですね。
そうならない為にその部分を泡で洗いお湯で流してからお薬を塗る。加えて体交クッションなるオタマジャクシみたいな形の長いクッションを体の背中部分から足の隙間に挟みます。
すると仙骨部分がベッドのマットに当たらないので褥瘡ができにくくなる。
水分補給とその褥瘡対策の為の体位交換とクッションを当てる…
これをラウンドの度に行うわけですがその度に怒鳴り散らして抵抗をするフクイさん。
ただでさえめんどくさいのに明るく言おうが上から言おうが下出に出てお願い方式で言おうが
やらん言うたらやらんっっ
はぁ….

何が作戦Aやねん まったくあかんし
家族に見てもらったら?
フクイさんはご家族様を大事に思っておられます。
聞けばご本人は結婚が遅くお子さんはおられませんが5人兄弟の仲がすごく良くて1日起きに誰かしらが来られています。
施設に入る前。
漁師さんをしていた頃は多分ご兄弟にもそのお子さん達にもすごく優しかったんでしょうね。
ご兄弟やそのお子さん達はうちの施設に面会にくると2~3時間もおられるそうです。
そして冷蔵庫には満タンになるぐらいプリンやゼリー ジュースなども入れて帰られます。
ラウンドの時にご家族さんの話をすると目がパチっと開き普段一切口をきかないのに急にしゃべりだします。
それをわかっているのでフクイさんのオムツ交換の時などはお布団をめくる時に先にその話をするようにしていました。

今日もご家族さん来てくれはったんやな~

妹が二人来てくれた

そうなんや 一杯お話した?
そう言いつつ誤魔化しながらちょっとお茶飲もうか~
そう言うと
機嫌よかったさっきの顔じゃなく般若のような表情になり
うるさいっ飲まん言うたら飲まんっ
の繰り返しでした。
テレビではプロ野球が試合をしていました。
そこでフクイさんはどこの球団が好きなん?顔を見ずにテレビの方を向いてお茶のことはどこか行ってしまったようにして
やっぱり阪神?
そやろそやろ阪神やんな~
お茶飲もうと言う言葉は一切出さずにベッドの背もたれを左手でウィーンウィーンっと上げていきむせ込まない角度にしながらテレビでしている試合を見つつ
コップをフクイさんの口元に持っていくと自然に開く口。
阪神って今年すごいらしいやん優勝らしいな~
応援とか行ったことあるん?
お茶への意識を取り戻す前に野球の試合に興味を持っていき開いた口にお茶を飲んでいただきそれを数回繰り返しているとふと我に返ったフクイさん。
ぶは~~っ
とお茶を吹き出してしまいました。

ちぇっ 気がついたか…
はぁ…
疲れてきた。
それでもなんとか100㏄ぐらい飲んでくださったのでもういいやと今度は仙骨を洗うミッションが待っていました。
もう1回。
なくなりそうな気合いを戻しながら

サトテル言う人が活躍したんやろ~
またも野球に意識を持って行き布団をめくりズボンを下げようとしましたら
毎回毎回そんなことしやがって

寝かせんへん気ーかっっ
寝かせへんって…
夕方のこの時間に寝るとかないのに…
しかもわざとお茶を吹き出し布団がお茶でビショ濡れの状態で。
後でシーツを替えて洗濯…
このクソジジイええ加減にせーよと思いながら
はい。スイッチオン

あんな?よぉ聞いてや
ラウンドの度に水分をおすすめしてるのもフクイさんの為。
脱水で入院したからこそみんなが頑張って飲んでもらおうとしてる。
お尻の床ずれのところも毎回泡でわざわざ洗ってお湯で流して2種類のお薬を塗ってやで?
拭いたらあかんと言われてるからタオルで優しくポンポンとして…
終わったらマットに体が当たらんようにするために体交クッションかまして足の下にはさらにクッションを敷いて。
テレビが見たいだろうと思って体交クッション夕方からは体をこちら向きにしてあげて?
夜の体交はあちら向きにしてあげるとかな?
そんな気遣いも知らんと怒鳴ってわめいて威嚇して?
どこの金持ちのお世話やねん。
こーいう施設に入るとナースさんからの指示は守らなあかんねん。
好きでしてるんちゃうわ。
これらはわたしらの仕事やねん。
パットの交換も拒否するからおしっこ漏れてズボンの交換もせなあかん。
めんどくさ。
その時だって足をちょっと触っただけで痛い痛いを連呼して。
叩いたわけちゃうし自分のおしっこが漏れて着替えさせてもらってるんやろ?
少しのことぐらい我慢しーや。
ちゅーかさ。
そんなに施設でされることが嫌やったらご家族さんに引き取ってもらって面倒見てもらったらどーなん?
施設におる限りはその施設のスケジュールやナースさんからの指示もあるねん。
なにもかも拒否とかするなら大好きな兄弟にしてもらえばいいやん。
言うとくけどな。
わたしはフクイさんの女中でもないし家政婦でもない。
指示された仕事をしてるだけやねん。
一体何様やねんな
あーあ。言ってしもた。
でも引き下がれないわたしは
家族が面倒見れんからこーいうとこにおるんやろ?
なら決められた時間やその内容はしてもらわんとあかん。
嫌なら家に帰りーや。
元々頭がクリアなフクイさんは黙ったままの口を少し開き

兄弟はこんなことしてくれへん

そやろ?ならこちらがすることを我慢してもらわんとあかんやん
しばらく対峙してわたしも黙っていると目をつぶったフクイさん。
目を合わせようとしない…
作戦なんてもはやありません。
布団をめくりズボンを下げて体をあちらに向いてもらい仙骨を洗いだしても黙ったままのフクイさん。
綺麗に身支度を整えて再度背もたれをあげていきほぼ直角のところまで来た時に

プリン食べよっか

うん
でもってお口の中甘くなるからお茶も飲もうな~と言いながらプリンとお茶を交互にお勧めすると拒否もなく食べていただけました。
はぁ…
言ってはいけない言葉を言ってしまった。
それに自己嫌悪になりながらもこれが正解だったのかどうなんやろ…
ラウンドの度にこんな感じだとそりゃ職員みんなげっそりしてくるでしょう。
何が嫌なのか。
何の理由があるのか。
拒否を続けていけばまた入院です。
そうならない為に施設の職員は頭抱えている現状なのに…
一体どうしたら拒否なくスムーズな対応が出来るのか。
タイトルにstart overとつけましたが意味はやり直しと言う言葉です。
頭をポンポンしてくださったフクイさんと上手くやれると勘違いしたわたしは次回からのタイトルにハイタッチとつけうようと思ってましたがとんでもない誤解でした。
やり直し…
どういう方法でフクイさんに接していけばお互いに気持ちよくなれるんでしょうね。
お姉様クオリティー
夜勤が明けてお姉様方が出勤されてきました。
一番早い到着のオオタさんがわたしの顔を見て

どないしたん アンタ顔が土気色やん

どーもこーもありませんよ

フクイさんに手こずったん?

いえ? 何事もなくふつーでしたね
お茶拒否るやろ?
パットの交換拒否やろ?
泡洗浄拒否やろ?
そこに違うお姉様が出勤をしてこられその会話を聞きながら
んなもんやったことにしたらいいねん

ぇ…やったことにしておく…
どこかで聞いたようなセリフで…
ああ~そうですか。
お姉様達はやったことにしているんですね。
それで満足されているのかどうかわたしにはわかりませんが倒したはずのボスが再度復活をし降臨してきたことに倒せないからってそのダンジョンを放置ですか。
お姉様方はゲーマーじゃないんやなと思った朝のことでした。
どなたか詳しい人がいたら教えてください。
このような利用者さんの攻略方法を。


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