冷蔵庫のプリン

仕事

記録的寒波ということで洗濯をしに外に出ると驚くこの寒さ….
隣の田んぼも凍っています。

我が家は家の中に洗濯機がないので勝手口を出たところに置いてある洗濯機で洗濯をしなくてはなりません。
あまりの寒さに外に出る前にお湯で手を温めてからドアを開け洗濯物の仕分けをして慌ててスイッチを押して…

ホントに洗濯するだけで心臓に悪いわぁ~と思いながら家の中に戻るとさっきまで暖房はつけっぱそしてコタツで温もってるはずのボンさんが見当たりません。きっと二階に寝に行ったんでしょう。

それはいいとしても?
外で洗濯をして家の中に戻るであろう嫁のこと考えませんか?

暖房もコタツの電源もそしてテレビが消してあり部屋の照明も消して薄暗いリビングに入ると沸いてくる殺意。

どういう仕返しをしようかと決意した今日の朝でした。


ゴキブリとアリが似てる

とうとうエトウさんが退所されました。

前日の夕方。
出勤するとお姉様達が

おばちゃん
おばちゃん

明日エトウさん退所やで~

わたし
わたし

明日ですか…

わたしの退勤は9時ですがその少し後にご家族様がお迎えにくるそうでそれまでに身支度をしてあげてや~と指令が下り

わたし
わたし

わかりました

最後の一晩になりますね。
エトウさんのお世話をする一晩…
優しく優しくしてあげよう。

そう決めてそれぞれのラウンドではエトウさんがして欲しいことやエトウさんのお話をたくさん聞いてあげようと思いました。


高齢者さんはこの季節とてもお肌が乾燥しておられます。
服の中に手を入れてポリポリ掻いているのでホットタオルで上半身を拭いて保湿剤をぬってあげました。
ところどころ血が出ていたりもしていたので薬をぬろうと探してもエトウさんの居室にはありません。

退勤の時の申し送りで何度も報告をしているのに搔きむしって血が出ていることなどまったくスルーされてしまいます。

おばちゃん
おばちゃん

そんなこと発見するのは毎日来るナースやろ

そうかもしれませんがナースさんも日勤のヘルパーから体にぬる薬を要望すればナース→訪問医師→利用者さんにお薬がくるのでは?


そして必ず言われるのが

おばちゃん
おばちゃん

薬が来たとしてアンタが毎日塗りにくるん?

わたし
わたし

誰かとかじゃなくて1日に1回塗る時間を決めればいいのでは

おばちゃん
おばちゃん

余計な仕事を増やしなや

とまぁこんなことは想定内だったのでもう今は言いませんがナースさんがもし掻きむしりの血を発見してお薬が出たとしますよね。そしてそれを1日に一回塗ってくれ~と指令を出すとうちの職員さん達は


アンタが発見したんやからアンタが塗りにきたらいいねん

とナースさん相手に言ってしまうのです。


介護の世界の上下関係はナースさんの方が上の位置にいます。
ナースさんがこうしろああしろと言うことは介護職員は聞かなくてはならないはずなのにうちの職員さん達はそんなこともまったくおかまいなしでナースさんに向かって


アンタ

と平気で言ってしまうのです。

びっくりすることは他にもたくさんあります。

居室が乾燥しているので喘息持ちの利用者さんの部屋に濡れたバスタオルを吊るす指令が出ましたがその濡れてるはずのバスタオルはいつ出勤しても乾燥してカピカピになっています。
モリタさんの目薬は永遠に残ってますしウエノさんの居室にはよくゴキブリがいますが置いてあるのはアリの巣コロリです。


わたし
わたし

アリじゃなくてゴキブリを退治しなくていいんですか?

おばちゃん
おばちゃん

似たようなもんやろ

似てませんが…..

もう何も言いません。
言っても無駄ですし一言言うと反撃は100倍になって返ってくるからです。

あー怖い怖い。

エトウさんの掻きむしりには…
これ….
してはいけないことですが内緒にしてくださいね。

わたしの手持ちのオイラックスをぬっておきました。

あんこ

何故か高齢者さんはあんこが好きとよくおっしゃいます。
甘い物が食べたくなるんでしょうね。

おやつも出ないうちの施設ですがクリスマスのケーキもお正月の栗きんとんもありません。

甘い物…
おかずに入ってる甘い系の物ぐらいしか甘味が味わえないのって寂しいですよね。

エトウさんとの数年のお付き合いで好きなおやつは知っています。
プリンなんですね。
そのプリンさえこの施設に入ってからは食べていないだろうと思います。

ご家族様が面会に来られる利用者さんは差し入れなどもありますがエトウさんのご家族様は面会に来られたことはありません。

次に行く予定の特養ではきっとおやつが出ると思います。
それを信じて…

わたし
わたし

エトウさん 明日お引越しするんやで~

エトウさん
エトウさん

どこに引っ越すんや?

わたし
わたし

ここよりもっといいところ

エトウさん
エトウさん

そうかっ!ご飯はあるんやな

わたし
わたし

あるある ご飯もおやつもたくさんある

エトウさんとお別れするのは寂しいけれどエトウさんのことを思えば絶対に特養に行かれる方が幸せになれる…

わたし
わたし

エトウさん….

数年のお付き合いやったけど手が届かない介護でごめんやで。
そう言い顔を見つめていると


エトウさん
エトウさん

そこは姉ちゃんも行くんか?

わたしも?


わたし
わたし

そやな~後10年ぐらいしたら行くかもしれんわ

エトウさん
エトウさん

そうかっ姉ちゃんも行くんやな

先にそこに行ってまたみんなに愛されて欲しいと切に思いました。

それからエトウさんに若い頃はなにしてたん~?
どんなスポーツしてたん~?
どこによく行ってたん?

もう数十回も聞いたことのある質問を最後の夜にまた聞いて夜が過ぎていきました。


バナナとカステラ

朝を迎えてバタバタと走り回り時間を余らせることに成功しました。

日勤のおばちゃんはいやお姉様達は9時出勤となりますがそれぞれ出勤時間が違います。
ふつーのお姉様だと30分ぐらい前に来ますがこの日のお姉様は1時間15分ぐらい前にくるオオタさんと1時間位前に到着するハラダさんでした。

シフトの確認を忘れていたわたしは逆算すると7時45分までにはエトウさんに持ってきてあるおやつを食べさせなくてはならないのにどうしよう….

7時45分にオオタさんが玄関のオートロックを開けた時に

わたし
わたし

しまった~来てもうた

うわ~どないしよ….


冷蔵庫に隠してあるおやつが見つかったら大事になってしまいます。

どうしようどうしようと焦っていると台所に入って来たオオタさんが


オオタさん
オオタさん

アンタ暇やろ エトウさん退所やから

これ食べさせたってとバナナを1本わたしに差し出したのです。

喉詰まらせたらあかんから包丁で細かくきってちょいつぶして食べさせてやと指令を出して本人は事務所に行かれてしまいました。

オイ
暇ちゃうし…..

夜勤の朝の時間帯がどれほど忙しいかわかってない日勤さんなので暇やろ~と言われるのですがそれにしても自分が持ってきたバナナは自分で食べさせればいいのではないのでしょうか。

そんなことも言えずにバナナを慌てて切って潰したものをエトウさんの口に運ぶと


エトウさん
エトウさん

美味しいなぁ

にっこり笑顔のエトウさんの表情。
そう言って貰えて嬉しいのでまぁいいやと思う間もなくハラダさんが出勤してこられたのです。

おはようございます~の挨拶の後に

おばちゃん
おばちゃん

ご家族さんが来るまでにこれを….

と言ってカステラを出してきたのです。

まさか…
まさか….


おばちゃん
おばちゃん

アンタ暇やろ?コーヒー牛乳かけて潰してあげてーや

オイ。

ババア達ええ加減にせーよ

いつものごとくこんな恐ろしいことは言えません。
気の弱いわたしが先輩にそんなこと….

そしてトボトボ台所に行きカステラを細かく切りコーヒー牛乳をかけてつぶしエトウさんの居室に向かいました。


エトウさん
エトウさん

美味しいなぁ

わたし
わたし

美味しい?うんうん良かった

今度もエトウさんはにっこり笑顔になって喜んでくださいました。

この施設に入ってバナナやカステラが両方出てくるなんてエトウさんには初めてのことだと思います。
満足そうにされてるエトウさんのお顔はホントに可愛らしくて

わたし
わたし

あっちに行っても元気でいてや

エトウさん
エトウさん

今日仕事あるんか

わたし
わたし

ちゃうちゃう エトウさんお引越しやで

退所して次の施設に行かれることをご理解していないエトウさんは今日も仕事に行くらしいです。

ま いいや….
エトウさんがにっこり笑顔でいることがなによりも嬉しいのでお引越しであろうとお仕事に行かれるだろうともうそれでいいや….


と、時計を見るともう8時半になってしまいました。


わたし
わたし

きゃ~時間がない



8時半と言うと最後の記録を書いて申し送りの為に事務所に戻らなくてはなりません。
ババア達がいやお姉様達がこれを食べさせといて~とイミフなミッションの為にわたしが持ってきたおやつが…..



手拭きタオルに包んで持って帰ったエトウさんのプリン。

一番好きと言っていたプリン….
食べさせてあげられなくてごめんなさい。

きっと特養でおやつにプリンが出るはずだから…..

そう願って朝のお日様を見ながら帰ってきました。

本日のおまけ


人のことをまったく考えられない…
その人の情況を想像さえも出来やしないクソジジイ….

どう仕返ししようか考えましたが公にすると100年ぐらいうるさいのでこっそり系にすることにしました。

ボンさんは甘いものも辛いものもいや食べ物の全てを食べますが楽しみに置いているスイーツなどは秒でなくなってしまいます。

それに文句と言うと

ボンさん
ボンさん

食うために置いてるんやろ

わたし
わたし

アンタ一人が住んでるんちゃうやん

どうしてそれがもしかして嫁が食べたいから冷蔵庫に入れてある~とか考えないんでしょうね。
職場のお姉様もそうですが自分のことしか考えられない人種…

呆れながらもなにか甘い系を冷蔵庫に入れておかないとうるさいので今日の買い物で買ってきたこれを….


\100以下でしか買う気になれないので特売のロールちゃんを買ってきました。

そしてそれを言うと


ボンさん
ボンさん

おっロールちゃんか

わたし
わたし

そうそう ロールちゃん♡

エトウさんなんて甘い物も食べられずにそれでもニコニコしてるのに文句しか言わないクソジジイ。


ボンさん
ボンさん

最近ロールちゃん細そなってへん?

わたし
わたし

そうか~?知らんわ

物価高やしなと言いつつまさかロールちゃん丸ごと1本食べれると幸せな人種のボンさんに




ロールちゃんを半分に切って出しておきました。

わたし
わたし

丸ごと1本なんて誰が出すか

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