みんなで頑張ることの意味

ボン

世間では運動会の季節ですね。
近くの小学校では校庭で練習に励んでいる子供達の声が聞こえてきます。

全国春に運動会を行う地域も増えているとのこと…
この辺は田舎なのでほぼ秋に行われています。

わたしの子供の頃は運動会がすごく楽しみでした。
年に1回しか食べられない栗などを親が茹でてくれたりお昼ご飯は手作りのお弁当をみんなで食べる..
1日かかりの大行事でした。

今は親御さんがこれない子供に配慮するとかで教室で給食を食べるところが多いそうですね。
しかも午前だけとかになってるとかネットで見ましたが時代が変わってしまったんでしょう。
少し寂しい気もしますね。

そして午後からのフォークダンスで好きな男の子と手を繋げられるかどうかをドキドキしながら待った覚えがあります。

今もフォークダンスとかあるのでしょうか。

アクロバットのような組み立て体操


息子の中学の運動会…体育祭と言ってましたっけ。
中学3年生の年。
これが終わったらみんな受験に向かっていく時。
みんなで力を合わせてクラスメイトや地元の友達や近所の子達との最後の関わりの大事な行事….

2か月ぐらい前から毎日激しい練習を重ね起きられないぐらいの疲労を溜めていきます。

最近では危ないからと言って組み立て体操がどこもなくなっているとネットなどで見ました。
ボンの時にもそれが問題となり翌年からは男子の組み立て体操がなくなりました。
1つ下に息子がいる友人などは危ないからなくなって良かったわ~などと言っていましたが
わたしは組み立て体操賛成派です。

勿論危ないのは承知です。
ただ、終わった後の達成感は何事にも代えられないぐらいの意味があるのでは?と思うのです。

そして組み立て体操をやり終えた子供たちはすっかり成長した顔になってました。
下の学年の子をかばい同級生との連携連帯。
日頃あまり会話しないようなクラスメイトとも
この時ばかりは一連托生になって一つの物をみんなで作り上げていくその姿を忘れることが出来ません。


わたしはたまたまこの年
中学3年になっていたボンの学年のPTAの本部役員を引き受けることになりました。
本部役員と言いますのは結構重要な役職でPTAの理事長の下10人ぐらいの本部役員がいましたが
行事の大半をこの本部役員が決めて行います。
勿論学校の先生も役割はありますが地域性でしょうね。

地域の中から役員を出し学校が後から従う?そんなイメージでした。

親の役員の方は毎週学校で会議を行います。
そして近づくと連日の会議の後体育祭で使用するものなどの手配で夜遅くなったりもしました。
実際の体育祭の進行などは学校主体ですがグランドの整備やら入場門の設置
テントの設置、来賓への対応、等々
役員のすることは多岐に分かれて体育祭への準備が整っていきました。

当日の体育祭だけを応援に行くのではなく毎日のように学校に通う日々。
息子の練習を真近に見れてご褒美ですね。

夏の暑い時にドロだらけになっての練習は凄まじいものでした。


男子組み立てが始まる合図の太鼓が鳴り響き…
わたしは役員の仕事があるので遠くから来てくれた両親にビデオ係を任せて走り回っていました。

息子に聞くと練習では成功しなかった大きな組み立てがあり本番で成功するかどうか生徒達も本気で取り組んでいたそうです。

反対派の方から見たらそれは恐ろしい組み立て体操でしょう。
誰か一人でも手を抜くとその子は頭から落ちてしまう…
そんな組み立てがいくつもありまるでアクロバットのような緊張感が走ります。


みんなの力

うちの息子は幼児の時から一番背が低く
幼稚園小学校中学の1年まではいつも一番前に並んでいました。

なので写真を撮るときはホントにお得で探す手間もありませんし
なんと言っても目立つ場所。

中学生最後の学年では真ん中あたりの身長になりました。

そして組み立て体操最後の種目が8段構成のピラミッドです。
体の小さな中1の子達や細い子供は体重の負担のかからない場所に配置されていました。
そんな練習があったある夜のこと….

背中や腰が痛い痛いとシップを貼っていた息子との会話で

わたし
わたし

ピラミッドどの辺におるん?

ボン
ボン

俺は見えへん場所やで

えええ~見えへんところにおるん?

息子の晴れ姿を撮るのに張り切っていたわたし。


わたし
わたし

いっつも一番見えるところにおるのに….

残念やわ~と言うと



ボン
ボン

お母さん 団体競技向いてへんな

わたし
わたし

なんでなん

ボンが言うには
土台となる部分は最上級生の役目だそうで
体中に誰かの体重が乗りそれを耐えることが一番大事な仕事。

ピラミッドが出来上がりつつあると
土台になっている子供達はみんな崩れそうになる気持ちを維持しつつ誰にも見られてないその場所で
もうあかん もうキツイ 痛い …
その声においがんばれ! 萎えるな! 耐えろ!
ヒロキが登るまで…
ヒロキが垂れ幕下すまで…

そんな声を掛け合いながら歯を食いしばって周りを励ましていたそうです。


だから



ボン
ボン

俺の写真なんてどうでもいいねん

ピラミッドの一番上の子。
八段のてっぺんに立ってその年のスローガンの垂れ幕を垂らす役目の子。


ボン
ボン

ヒロキの写真を撮ってくれ

ヒロキがちゃんとてっぺんに立ってその垂れ幕を垂らすことが出来たら俺達が頑張った証やねんから。



そう言われて…
自分の子供の写真のことしか考えなかったわたしは恥ずかしくなりました。


そしていざ本番。
ピラミッドの組み立てが始まる前に…


3学年の男子が座り最高学年の男の子2人が全員になにかを話しかけていました。
その時の会話はわかりませんが二人共泣いています。

かなり長い間二人は男子全員に話しかけて
みんなで頑張った練習やみんなでやることの意味などをきっと話していたのではないかと思います。


そして掛け声の後。
下から一段一段子供達が馬になっていきました。


三段四段と重なっていく表面にいる子達は平気な顔をしていますが
きっと中の方にいる子供達は息子が言っていたように励ましあっていたんでしょうね。
七段目の二人の上にヒロキ君が登った時に体が傾いた時にはグランドにいる保護者全員が悲鳴をあげました。

それでも最後持ち直してヒロキ君が八段目のてっぺんに立った時には割れんばかりの拍手が起こりました。

ボンが言っていたヒロキがてっぺんに登れた時には俺達みんなが頑張った証だから。
そう思い出してヒロキ君の写真をたくさん撮りました。

あ~中で頑張ってるんやわ….耐えてな~最後まで耐えてな~
ヒロキ君ちゃんと登ったで。

全での学年の男の子達の想いがこもった完成でした。



こんな熱い子供達の頑張りがあったあの秋。

時々思い出します。
みんな元気にしてるかな。

あの時頑張った想いを….
大人になっても忘れないでいてくれたら
きっとどんなことがあっても大丈夫だと思います。

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