お仕事頑張って

仕事

あっと言う間に年が明けてすでにいつもの日常に戻っています。

今年は初めてお正月に仕事に出ることになりました。
2日の日….

わたし
わたし

嫌やわ~なんで正月から仕事やねん

シフト制の仕事の場合お正月もクリスマスも関係がありません。
いつもは休ませていただいているのに今年は事情もあり職場のおばちゃん達…
いやお姉様達の圧力がかかり


おばちゃん
おばちゃん

アンタが出などないすんねん

はぁ….
正月早々に仕事とは….

強制的に出ることになりました。


ご飯と仕事が気になる

事務所に入っていき

わたし
わたし

明けましておめでとうございます~

そして今年もよろしくお願いしますと挨拶をしても….聞いてないお姉様達が

おばちゃん
おばちゃん

エトウさんの退所が本決まりになったわ

わたし
わたし

そうでしたか….

なんでも年末にエトウさんが転所する特養から面談の人が来てたらしく年が明けたら事務的なものを済ませたのちにエトウさんは退所することになったようでした。

エトウさんと言う方はうちの施設の唯一の癒し系で一番好かれてるおじいちゃんです。
年は85歳。
笑顔が素敵なのんびりおじいちゃんのエトウさん。
半分以上認知もはいっておりご飯を食べてないとかあれこれ記憶もさっぱりですがなんと言っても可愛いのは

エトウさん
エトウさん

今日仕事あるかなぁ…

と、顔を見るたびに聞いてくるのです。

いつが夜でいつがお昼なのかもわかっておられません。
わたしはラウンドの出発をエトウさんと決めているのでその日の最初の利用者さんとの会話になります。

わたし
わたし

エトウさんこんばんは~

居室にお伺いをしてそう挨拶をすると

エトウさん
エトウさん

おーっ姉ちゃんか~

姉ちゃんって若くもないんですがエトウさんからしたら娘さんぐらいなんでしょう。
姉ちゃんと呼んでくださいます。

そして

わたし
わたし

今日夜勤やねん~よろしくなぁ…

そう言うと

エトウさん
エトウさん

まだ朝ご飯食べてないねん

いやいやいや。勿論朝ご飯も朝に終わってますし今の時間は晩御飯が終ったところです。
それでも食べた記憶がないエトウさんは


姉ちゃんにはいつも迷惑かけてばかりでごめんな。
姉ちゃんがいるから助かってるねん。
姉ちゃんありがとうな….

と言いながら


エトウさん
エトウさん

昼飯はもうすぐか?

わたし
わたし

お昼ご飯も晩御飯も終わってるで~

エトウさん
エトウさん

そうかっもう終わっとったんか

わたし
わたし

そうやで~終わってる


ご飯が大好きなエトウさんは顔を見るたびにご飯はまだか~と聞いてこられます。
終わってるとお伝えすると寂しそうな顔になり次は何時頃にご飯なんや~と何度も何度も聞いてきます。

食事位しか楽しみがありません。
1回目と2回目のラウンドはほぼ同じ会話でご飯は何時なのかを聞いてこられます。
エトウさんは毎回


エトウさん
エトウさん

ご飯の量多めにしてくれんか

わたし
わたし

うんうん 多めにしてもらうように言うわな

多めもなにもみなさんの量は決まっておりうちの施設では業者さんが持ってくるお弁当のような入れ物にはいっているので職員が量を増やすことは出来ません。

それでも多めに欲しいとエトウさんは言われるので安心させるために嘘をつくんですね。
すると嬉しくなったエトウさんは

エトウさん
エトウさん

姉ちゃんのおかげや~

と感謝をしてくださいます。
嘘をつくのはいけないことですがエトウさんが快適に寝れるように…
エトウさんが安心するように….
出来るだけ否定をせずに対応することを心掛けています。

そしてまた次のラウンドでは

エトウさん
エトウさん

昼ご飯はまだか~?

これを繰り返して

そして毎回必ず姉ちゃんには世話になって…
姉ちゃんがあれこれしてくれるから助かるねんと言ってくださり夜は更けていくのです。

現役時代は工事現場のガードマンをしておられたとかでご本人は今でもそこに出勤していると思い込んでおられます。
そのお仕事が好きだったんでしょうね。
夜中のラウンドと朝のラウンドには今度はお仕事が気になっておられるので

エトウさん
エトウさん

今日仕事あるかなぁ…

に変わっていくのです。


平和な夜でこちらの気持ちも穏やかな場合は

わたし
わたし

お天気やしあるんちゃう?

そう応えることが出来ますがバタバタする対応が続いてイライラしてる時には


エトウさん
エトウさん

今日仕事あるかなぁ

仕事ってもうずっとここにいるのに仕事なんて….

10年位この施設にいるのに….

わたし
わたし

オムツしてどうやって仕事いくねんな

こんな酷いことを言ってしまう時もあります。

ラウンドで1周回って事務所に帰るとさっきのことを思い出してしまい

わたし
わたし

あ~あんなこと言うんじゃなかった


わたしのイライラとエトウさんは関係ありませんもんね。


そして反省しながら次のラウンドでエトウさんの居室に伺うとエトウさんがまた

エトウさん
エトウさん

今日仕事あるかなぁ

わたし
わたし

あると思うで~

エトウさん
エトウさん

そうかっ仕事あるんやな

わたし
わたし

うんうん 頑張ってきてや

そう答えるとにっこり笑顔になるエトウさん。
ずっとこのままうちの施設にいると思ってました。



その人の為になるのなら

一旦施設に入所すると滅多に転所と言うことはありません。
しっかりした利用者さんの場合ではその施設になにかしらの不満があるとご家族さんやケアマネさんなどに訴えて転所と言うこともあるにはありますがわたしが今まで勤めた施設では2回ぐらいしかそれを経験したことがなかったのです。

それがエトウさんの転所…

お姉様達に理由をお聞きするとなんでもご家族さんが現在のうちの施設の支払いが高いと訴えられてきたそうでオーナーも支払いが厳しいのなら仕方ない…と了承されたそうです。

失礼ながら自分の働いてる施設ではありますがあちこち働いた経験上。
最も劣悪な環境だと思っているうちの施設です。

過去に働いた施設では


わたし
わたし

これはあかんやろ

と思うところがほとんどでわたしが将来どこかの施設に入ることになれば絶対にここだけは入りたくない。
そう思うことが多々ありましたがそれ以上の劣悪さにはびっくりしています。

文字にすると1万文字は軽く超えそうなので省略しますがわたしがこの施設で働いている理由とこんな施設に入りたいなと思うこととはまた別問題であって理想と現実は違うと思い知る施設です。

よくあることですがいくつかの施設を経営されているとディサービスなども同時経営されています。
すると入所している利用者さんを同じ経営のディサービスに週に2度とか3度とかお連れしてディサービスの売り上げもあげていく。

そんなやり方であっても入所している利用者さんからするとお出かけの為に着替えをしたり気分転換が図れます。
車でお迎えに来てもらってどこかに外出をする。これは利用者さんの楽しみでもあるんですね。

ディサービスによっても特色はあれこれ違いますが大体大きなお風呂に入ったりレクリエーションがあって将棋やカラオケをしたり来ている利用者さん同士で会話などもあるでしょう。

なんと言ってもおやつが出たりして利用者さんは入所している施設に帰ってくると機嫌もとても良くなっていました。

ところがいくつかの施設を経営していますがうちの会社はディサービスを持ってはいません。
そうなると365日どこにも出かけることがなく外出と言いますと病気になった時に病院に行くことしかありません。

周りは山々の緑があり…
春にはたくさん桜が咲いています。

せめてお庭でもあればお連れして外の空気を吸うことも出来るのにお庭なんてものはありません。
新緑の清々しさも忘れていることでしょう。
桜の花びらが舞う春も知らないうちの利用者さん達。
季節の感覚をすっかり忘れてしまっている利用者さん達はお正月だったと言うことも知りません。

そんなところにエトウさんの特養行きを聞いて…
寂しくはありますがエトウさんの残りの人生の為にはそちらの方が幸せに過ごしていただけるのではと思っています。


わたしの初めての施設勤務は特養でした。
勿論特養にも色々あって全て同じだとは思っていませんが体調の管理や水分補給などしっかりしてくれると信じています。
毎月行う行事や夏の花火大会などを思い出してエトウさんの今後がより快適になることを願うしかありません。


転所することも理解はされていませんがきっといつものにっこり笑顔になって

エトウさん
エトウさん

今日仕事あるかなぁ

そう言うと行かれる特養の職員さん達は

特養の職員さん
特養の職員さん

仕事頑張ってきてや~

と言ってくださると思います。

残り何日ぐらいうちの施設におられるかはわかりませんがいつ転所になっても心残りがないようにエトウさんのお仕事の応援をしたいと思っています。


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